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矢堀孝一 ジャズ ギタリスト

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インタビュー:by @jazz 吉川明子


実力派ギタリストが語る ジャズギターの上達法とは?


一時期は、ロックを学びたい若者がとても多かった。だけど、最近はジャズを習いたいという人も増えているように思います。だけど、ロックでもジャズでも基本は同じ。言ってみれば、山の頂上にどんな登り方で登るか、それだけの違いだと思います。
(矢堀孝一)



ギターを初めたのはいつですか。

中学2年生です。最初はキッスやディープ・パープルなどロックのコピーバンドをしていました。高校生になってから、ジェフ・ベックみたいなインスト系のものが面白くなって。

ジャズに転向したのはその時期ですか。

ジャズは大学に入ってからですね。マイケルブレッカーを聴いて衝撃を受け、すごく影響を受けました。そのあたりから、ジャズに変わっていったんだと思います。


矢堀さんにとって、ジャズの何が魅力的だったのでしょうか。

ハーモニーの感覚はロックにはないものでした。コードもリズムも本当に自由。ロックの方が、制約の中でやっているような感じがしました。

ギターを練習する課程で、どんな壁がありましたか。

いつも壁にはぶち当たってましたね。でも、くっそー、できない、わかんないというのを前向きに受け止めていました。壁にぶつかるとまた新しいステップに進める気がしてうれしかったな。

影響を受けたミュージシャンは誰ですか。
 
まずはウェザーリポートですね。初めて聴いたときにはこんなやつらがいたのかと驚きました。
それから、マイルス・デイビス。マイルスとハンコックがやっていた演奏は未だに信じられない。
同じ時期に聴いていたマイク・スターンもすごくかっこよくて、随分研究しました。それが高じて、インタビューをする機会をいただいたり、一緒に演奏もしました。今では、朝一番に電話がきて、練習するから来い!なんて呼び出されるような仲ですよ(笑)

朝から練習なんてすごいですね。矢堀さんは普段どのくらい練習をされるんですか。

最近は毎日10分から30分くらい、指のトレーニングをします。あとはライブやセッションの日程に合わせて仕上げていく。あんまり前もって準備しても忘れちゃうから(笑)練習するときとしないときは、はっきりしています。

ちなみに若いときはどれくらい練習していましたか。

25歳から30歳くらいまでは、とにかく練習ばかりしていました。暇だったからね(笑)1日に8時間くらいはやっていたと思います。

8時間も!具体的にどういう練習をしていたのですか。

たとえば、マイク・スターンのライブ音源をコピーするんです。最初は弾けないから、ゆっくり何度も繰り返してやる。できるようになったらスピードを早くしていって、最終的には音源と一緒に弾く。それを繰り返す。
いろんなミュージシャンをコピーしました。楽しくてやっていたから、ずっとやっていても全然苦じゃなかったです。


ギターを学ぶ第一歩はコピーなのでしょうか。

そういう入り口でも、もちろんいいと思いますよ。コピーをとことんやっていくと、どうしても音源通りにならないところがあるんです。そこをなぜだろうと考えて、突き詰めていくことで力が養われると思います。

それでは、最も効果的な上達法というのはなんでしょうか。

本当にうまくなりたいのなら、やっぱりたくさん泣かなくちゃだめですね。自分のだめなところがわかって初めて、考えるようになるんです。
実は僕は、自分のリズム感をまるで信用していないんです。若いときにリズムひどいなぁって散々いわれて、それまで勝手にいいと思いこんでたリズム感がだめだと思い知りました。それからいろいろ練習法を考えました。例えば、間を自分で感じられるように、メトロノームを8拍に1度だけならすとかね。今ではだめだと言ってくれる人がいてよかったと思っています。

矢堀さんが生徒さんに教えるときに心がけていることを教えてください。

その子の楽しみを奪いたくないっていうことが一番ですね。楽器を持ってわざわざ習いにきてるのは楽しいから。僕としても、もっと楽しませてやろうと思います。
そこから、もしプロになりたいんだっていう意識が見えたら、当然教え方はかわります。それでもがんばれる子はがんばれる。適正っていうのはそういうところにでてくると思います。

メーザー・ハウスさんにジャズ専攻コースができたことについてはどのようにお考えですか。

一時期は、ロックを学びたい若者がとても多かった。だけど、最近はジャズを習いたいという人も増えているように思います。今回も需要があって、ジャズ科が生まれたんだと思います。
だけど、ロックでもジャズでも基本は同じ。言ってみれば、山の頂上にどんな登り方で登るか、それだけの違いだと思います。

9月13日(日)に開催されるジャズコースの説明会で、クリヤマコトさんなどとのセッション・ワークショップもおこなうそうですが。


クリヤさんと僕は同世代で、4ビートだけがジャズじゃないっていう考えを持っています。だから、僕らが若い人たちに対して、こういうジャズもありなんだよっていう、ジャズの自由さや幅広さを伝えたられたらと思っています。


なるほど。面白い企画ですね。
ところで、矢堀さんは余暇には何をされていますか。

ゴルフですね。先日、渡辺貞夫さんとも一緒にラウンドを回ることができてね。僕の人生の目標はここだったんじゃないかと思いました(笑)

矢堀さんにとってゴルフの魅力とはなんでしょうか。

まずはスコアがあって勝ち負けがはっきりしていること。これは、ギタリストにはないことなので、新鮮な感覚があります。

もう一つはゴルフの持つエンターテイメント性。タイガーウッズのプレイを見ていると、あまりにすごすぎて感動するんです。だけど、たとえプロでもただうまいだけの人のゴルフをみていても感動しない。
まさにこれがエンターテイメントだなって思うんです。石川遼君はタイガーウッズをみて育っているから、そういう素質があるよね。曲げてもドライバーで勝負にでるとか、ドラマを見せてくれる。彼はただ若くてうまいだけじゃない。人を感動させるなにかがあるから、あんなに人気があって、日本のゴルフも今少し盛り返してきているんだろうなと思います。

音楽はまさにエンターテイメントそのもの。ただうまい演奏を見せたところでなにも面白くない。僕も人が熱狂するプレイをしなければいけないと、ゴルフを見て、思うようになりましたね。

ゴルフと音楽にも共通点があるんですね。最後に、今後の方向性を教えてください。

今はまだなにも決まっていません。来年の頭にソロアルバムが出るので、それで方向性っていうのは見せられるかなと思います。今まで、僕のアルバムは難しくてわかりにくいと言われることが多かったので、今回はゲストでロベン・フォードを迎えるなど、いつもとは違うアプローチで作ってみました。今まで僕のCDを買って、後悔した方がいたら、ぜひ買ってほしいと思います(笑)

お忙しい中、ありがとうございました。


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