中川英二郎ラテン＆ディキシー・サミット

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中川英二郎ラテン＆ディキシー・サミット

今回はヤマハホールで演奏された日本を代表するトロンボーン奏者の一人、「中川英二郎ラテン＆ディキシー・サミット」のコンサートの模様をレポートいたします。

日本を代表するトロンボーン奏者「中川英二郎さん」

●中川英二郎さんのプロフィール
5歳でトロンボーンを始め、高校在学中に初リーダー作をニューヨークで録音。名だたるビッグアーティストとの共演を始め、映画、CM、TVなど多くの録音でも知られる。2007年日本人として初めて米「トニー賞」授賞式に出演し2008年にはNHK連続テレビ小説「瞳」のメインテーマを演奏。国内主要オーケストラとも共演するなど、多彩な才能を発揮し、日本を代表する世界的トロンボーン奏者として幅広い活動を行っている。

多彩なジャンルから勢ぞろい

会場は銀座にあるヤマハホール。開幕の合図がなると、会場後ろから突如現れた中川さん。威勢の良い中川さんのトロンボーンの音色が、会場全体に響き渡ります。曲目は「おいしい水」。中川さんは足踏みをパーカッションのようにたくみに取り入れて、これから始まるライブへの期待感を高めてくれます。さすがこちらの会場で何度も演奏経験があるという中川さんは音の響き方、演奏の届き方など熟知されているようです。

次に日本では数少ないバンジョー奏者で中川さんの信頼も厚い青木研さんの登場。2人の演奏で徐々に会場のボルテージもアップ。バンジョーがはいることで一気に音の厚みが増していきます。次は多彩に活躍するチューバの家中勉さんが加わります。チューバが入ることで安定感が増し、ジャズのワクワク感も一気に高まります。

3人の息も合って会場も暖まってきた頃、中川さんの実父であり、日本のディキシーランド・ジャズのパイオニアでもあるトランペットの中川喜弘さんの登場で会場も大盛り上がり。曲目は「what a wonderful world」。中川喜弘さんがマイクを持ち歌いだすと会場のお客さんたちから盛大な拍手が！中川喜弘さんの落ち着いた美声は3人の演奏と相まって会場全体に優しく響き渡ります。それぞれ印象深い演奏を英二郎さんの力強いトロンボーンがまとめて引っ張っていってくれます。気づくとお客さんたちも自然と体を揺らしています。

会場を最大限に生かしたアンサンブル

素晴らしい音の厚みとバランス。そしてソロパートでの力強さ。

ライブの中でそれぞれの楽器のソロパートがありました。その中でも特に印象的だったのが青木研さんのバンジョーです。4人で演奏されているときバンジョーは他の楽器との調和してさほど強調されていませんでした。そのため広い空間にバンジョーだけで音が響くのかな？と思いましたが全くの杞憂でした。

不思議なことに、ソロとなるとさきほどまでとは打って変わって伸び伸びとバンジョーの音色が会場に響き渡ります。これも最高峰の技術が使われているヤマハホールで青木さんという素晴らしいプレーヤーが演奏されているからなのでしょう。ひとつの楽器の色々な表情が見れるのもこの会場の味わい深い点です。

そして満を持しての「タイガー・ラグ」。吼えわたる中川さんのトロンボーンの音色はまさに虎のように迫力満点！青木さん、家中さん、そして中川喜弘さんの演奏も相まって会場のボルテージは最高潮。最後は4人の息のあった演奏で締めくくり、盛大な拍手とともにライブは終了しました。

（2016年10月22日）