間違いなくコンテンポラリージャズの礎を作り上げた作品!!
★★★★☆ 2010/10/21
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 駄らいぐまぁ -
レビューをすべて見る
1曲目の「Bririant Corners」から流れる、不安感を煽る微妙なメロディは、いきなりジャズ初心者が耳にするとかなり刺激の強い...というか、難解というイメージをJazzに持つことだろう。モンク登場の前は、どれもII-Vで終始した、所謂”着地する””落ち着く”音楽だった。そのメロディラインは、チャーチモードを基本に作られ、調が明確な分かりやすいものであったが、セロニアス・モンクの作品では、その基本概念をぶち壊したような奔放なコード進行が多い。メロディは基本に従ったコードの音を拾ったような作り方だが、その作り方もリズム的にありえないところで音符をおいたもの、終始するポイントが、いきなり置かれる等、とにかくそれまでの常識では考えられないコンセプトであり、今思えば斬新でもある。
このアルバムはそんなモンクの真骨頂が存分に味わえる。急に倍ノリに成ってみたり(Bririant Corners)代表曲、Blue Monkのように、メロディのリズムにフックとなるリズムを入れてみたり(BaーLue Bolivar BaーLue Are)、問いピアノを使った新たなサウンド(PANNONICA)等、スタンダードなプレイが主体だった当時を考えると、実に斬新だ。これを支えるバックミュージシャン達も当時の名手達。が、このモンクの斬新な曲には相当手を焼いている様子が伺える。アドリブのフレーズでは、出だしから、まるで”どうやって展開していくか”等と若干迷いが見えるなど、演奏の様子まで見えてくるのが楽しい。