ジャズ 総合情報 @jazz - 楽器プレゼント情報 エリック・ミヤシロ (ジャズ トランペット)

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エリックさんの楽器への思いと音楽について

ハワイ生まれのトランペッター、エリックミヤシロさんの楽器と音楽についてのお話を聞かせていただきました。


ハワイ生まれのトランペッター、エリック・ミヤシロさんの楽器と音楽についてのお話を聞かせていただきました。

遊んでいる感覚でステージに立つことで感情を伝えやすくなると思います。自分がステージで感動していなければ、お客さんも感動しないんです。


< エリック・ミヤシロ >アメリカ合衆国のハワイ州生まれのトランペット奏者。数多くのアーティストのリードトランぺッターとして活躍。1989年に活動の拠点を日本へ移し、自身のバンドやソロ活動、アレンジャー、作曲家としても世界中で活躍している。

● エリックさんと楽器との出会いを教えていただけますか。
父親がプロのトランペッターだったんです。僕はハワイ生まれなのですが、父はハワイで200年以上の歴史がある「ロイヤル・ハワイアン・バンド」という吹奏楽のバンドの首席トランペッターでした。なので楽器が家中に転がっていて、トランペットだけじゃなくベース、ギター、ビブラフォン、ピアノなど他の楽器も触っていました。楽器自体がおもちゃみたいな感覚でしたね。

●その中でトランペットを選んだのは何故でしょうか。
やはり父親の影響ですね。家でダラダラしている父親がステージに立っている時、格好良かったんです。華やかな場面だけでなく、練習風景も楽しそうで、僕もそういう仕事をしたいと考えていました。

● 幼少期の練習はどのようにされていたのでしょうか。
テレビやレコードで聴いたのをただ真似していました。最初は全くの独学で譜面も読めなかったんです。でも逆に「高い音が難しい」とか「シャープが増えると難しい」とかそういった先入観がなくて、難しいと言われていたテクニックでも吹いていました。
中学の頃、僕がある曲を吹くと吹奏楽部の先生に驚かれたんです。 「何でそのキーで吹いてるの?普通それよりも半音下の音域なんだよ」って。 当時の僕は「でもこの音をレコードで聴いて習ったんですけど…」って答えるしかなかった。その頃はシャープも知らないレベルだったから(笑)  後日、家のレコードのターンテーブルを調べてみたら、半音高かったんです(笑) 僕はその音域を耳で覚えていたので吹くことができた。でも譜面を読める人は曲を演奏する際にシャープが増えると、頭の中で難しいと感じてしまう。そういった先入観がなかったのが良かったのかもしれないですね。
でも先生に「難しい」って言われたら吹けなくなってしまったんです。「そんな高い音吹いたら駄目だよ、頭がクラクラするよ」と言われて怖くなってしまったんです。 父親には「そんなことない」って言われましたけど(笑)

● お父様に演奏技術を教わったりされなかったのでしょうか?
なかったです。一回だけ「これどうやるの?」って聞いたら教則本を渡されて「この中に入ってる」って言われただけでした。でもそのおかげで、自分で考えるようになりました。 今大学で先生をやっているのですが、子供たちが自分で考えなくなっているような気がします。分からないことがあるとすぐにインターネットで検索してしまって、壁にぶつかる所までいかないんです。
僕の場合は、ハワイで周りに先生がいなかったので自分で考えるしかなかったんです。後はコンサートで様々な人達を見たり追っかけていました。高校生なのに打ち上げに入っていったり(笑)舞台裏というのは凄く勉強になります。ステージを創り上げる行程を見て勉強になりました。 自分で見て試して考えてっていう作業を、最近はあまりしなくなっている気がします。それはちょっと残念ですね。でも子供たちのせいではないです。時代や教育などが全部変わって、それに比例しているからだと思います。

● ミュージシャンの打ち上げに潜入したって仰いましたがどうやって…
「メンバーのファミリーです」って言うんです。そうすると大体の場合はOKって入れてもらえました。日本の場合は「おはようございます」って言えばどこでも入れました(笑) でも直接話に行くのが一番良いですよ。子供達の話に戻りますけど、皆「恐れ多いから」と言って来ない。僕は大歓迎なのに(笑)

● トランペットならではの魅力とは何でしょう。
様々なジャンルで演奏できるという所でしょうか。クラシック、ジャズ、ポップス、それに花形なんですよね。メロディーも演れますし。 あとは金管楽器って木管楽器と違って唇という体の一部を振動させますよね。だから声に似ているような感覚があるんです。そこも魅力ですね。

● なかなか最初は音も出ないですよね。
そこが難しいですね。でも音が出たときの爽快感は格別です。音をはずしたときの絶望感もあるのですが(笑) 天国と地獄の境目でやっているようなものです。 体調管理によって、微妙に唇とか歯だって変わりますよね。そのため、常に安定して演奏するということが難しい楽器です。しっとりした感じにもできますし、緊張感があるサスペンス的な演奏も可能です、そういった様々な表情を持った楽器です。

● トランペットは少し難しいというか…敷居が高いイメージがあります。
そうですね、体で音をコントロールするのが本当に難しい楽器です。自分の音感や長年の練習で感覚を覚えるしかない場合も多いですね。やっぱり金管楽器は音が出ないので、すぐ止めちゃう子もいるんです。でもさきほどの通り、音が出たときの爽快感は格別です。

● 楽器の選び方で気にされているポイントはあるでしょうか。
先入観なしに第一印象で選ぶほうが僕は良いと思います。トランペットは体の一部を振動させて鳴らす仕組みの楽器です。顔の仕組み、顔の格好、歯の並びなども、みんな全く違うので、同じ楽器を渡しても違う音がします。またどの楽器を吹いてもある程度その人の音がします。 あえて言うのであれば「扱いやすい」ということを前提として選ぶと良いと思います。

● エリックさんのモデル(YTR-8340EM)がヤマハさんから出ていますが、どのような特徴があるのでしょうか。
とにかく音が出しやすい、楽な楽器であると思います。自分は様々なジャンルの仕事をしているので、楽器自体が色んなジャンルに対応できるように、と思って設計しました。扱いやすさを基準として作った楽器がこのモデルです。企画から発売までに3年近くかかりましたね。

● ベルの先端にフレンチビード(※1)などの珍しい技法も使われていますね。
はい、フレンチビードは1900年代に作られた一部のオールドの楽器には使われていたのですが、 大変高度な技法なのでこのモデルを開発していた当時、採用しているメーカーはなかったんです。ベルのふちの部分に半円型の金属の輪を入れて、それに合わせてカールさせないといけない。それが難しいんです。そこをヤマハの職人の古き良き時代から受け継がれる職人技と最新技術の合体により再現していただきました。 他の部分ではベルの直径が他の楽器よりも多少大きくなっていて(134.4mm)、音質が豊かで多彩になっています。

● チューニングスライドについている独特な形状の支柱が特徴ですよね。
最初の試作品には支柱が無かったのですが、共振のコントロールをするために支柱をつけてみました。でも通常タイプの支柱だと窮屈になったので新規形状の真鍮製の支柱をつけてみたら、上手く共振を止めてくれました。
楽器というのは、中で色んな音の跳ね返りがあるので、演奏中は常に振動しています。この支柱は無駄な振動を整えてくれるんです。
● マウスピースにもこだわりはあるんですか。
はい、ここは演奏者と楽器の接点となる大事な所です。唇が声門だとしたらマウスピースがマイクロフォン、楽器自体がアンプスピーカーみたいなものなんです。この3つがバランスよく合わさってトランペッターというものになるんです。

● 試行錯誤の上でこの形にいきついたのでしょうか。
はいそうですね。今年でこの楽器も10周年になるんです。ヤマハの設計者や技術スタッフが色々なアイデアを投げかけてくれて、皆の力で出来上がったのがこの楽器ですね。

● 若い頃から楽器自体にも興味があったのでしょうか。
大好きでした!「楽器のここをとったらどうなるんだろう?」とか高校生の頃からやっていました。父親にはんだごてやガスバーナーをねだって買ってもらって自分で楽器をいじくって、何本も楽器をつぶしてしまい「馬鹿やろう!」って言われたこともあります(笑)

● アットジャズを見ているトランペッターの方々にアドバイスなどあればお願いします。
練習の仕方が大事です。そもそもトランペットという楽器自体、長時間吹けない楽器です。マウスピースの口径が小さいので、唇にあてると圧迫されて鬱血してしまいます。 なのでトランペットの練習は休むことがポイントです。「5分間練習したら5分休む」など、ペース配分を考えることが必要だと思います。
時間がない方が、ぎゅうぎゅう詰めで練習しがちですけど、それでは逆効果になります。休んでいる間は今やったことを振り返って、「どうしたらもっと効率的に吹けるか」「上手くなるか」ってことを考える時間を入れてください。
他には楽しいという気持ちが大事です。音楽は感情を伝えるために生まれたものですし、練習している時も楽しい気分で演奏したほうが良いですよね。「今日はちょっと気分がのらないな」って時は練習しないほうが良いです。そのような時は外に出たりして、気持ちをリセットしてからの方が良いと思います。

● エリックさんもそういう風に練習を重ねてきたのでしょうか。
はい、好きな時に練習して、飽きたら海に行ったりしていました。上手く吹けなくてイライラする時は止めました。すぐめげる方なんで(笑) そうして海で泳いでは、また帰ってきて吹いたりしていました。 演奏することを“Play”っていいますよね。スポーツもそうですけど、つまりゲームなんです。楽しくなければ練習するのをやめたほうがいいと思います。
遊んでいる感覚でステージに立つことで感情を伝えやすくなると思います。ステージに立つ人はみんな楽しそうですよね。きっと皆さんステージの上では自分を解放できるように、自分の気持ちを大切にしていると思います。自分がステージで感動していなければ、お客さんも感動しないんです。

● エリックさんの今後の展望などがありましたらお願いします。
色々なことを、もっとやっていきたいです。キーワードは「もっと」ですね。「もっとこれやりたい」「もっと上手くなりたい」「もっと色々な人に会いたい」「もっと違う旅に行きたい」…。

● こちらのエリックモデルも改良されていくんですね。
はい、ついこの間マイナーチェンジをしたばかりですが。常に自分も周りも変わっていますし、新しい技術も取り入れつつ…ですね。音楽も新しい時代のものを取り入れながら変わっていきますし。「昔は良かった」だけじゃなくて「昔も良いけどもっと」っていきたいです。ここでまた「もっと」っていうキーワードがでましたけど(笑)だから常に勉強を続けています。

好奇心旺盛で常に前進を続けているエリックさん。これからも「もっと」をキーワードに、色々な場所で活躍されるのを楽しみにしています。本日はありがとうございました!
※ 1 真円の縁輪を入れてカーリングする一般的な工法に対し、かまぼこ型の縁輪を入れ、その形状に合わせてカーリングする非常に高度な工法

2014年5月26日 都内某所にて





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